建設コンサルタントの業務について

query_builder 2024/01/22
先日、Twitterを見てたら「これは酷いだろ」と言うツイートを発見し、投稿者さんに怒鳴りつけていいと思いますと返しました。


Xユーザーのはうこ©︎さん: 「はじめましての土木コンサル会社から構造計算と図面作成、それに伴う見積作成を無償でするよう依頼がありました。「おたくは発注者からお金を頂いてその仕事を請けているのに、私には無料でしてくれというのですか?」と問うたら「はい、予算がないのでお願いします」と答えたので、怒鳴りつけました。」 / X (twitter.com)


当然ですよね。なんの構造物なのかはわかりませんが、構造計算と図面作成(なんなら数量計算も言ってくることでしょう)をタダでやれと言う依頼。

百歩譲っても新規の取引で、初めて発注するから安くやれと言いたい部分はあるかもしれませんが、それにしても仕事舐めてます。

原因は、
①そもそも元請企業も受注金額低く、外注費を抑える必要がある(にしてもやりすぎ)
②新規取引のため、お試しでタダでやれ(にしてもやりすぎ)

どちらも共通して言えるのは、おそらくというかほぼ確実に下請法に抵触するでしょう。いわゆる買いたたきですね。
当たり前ですが、何かをすれば何かを得られます。いわゆる等価交換の法則。鋼の錬金術師でお馴染みです。
与えたものに対価が与えられないって、意味がわからないですね。無形サービスなのでみなさんイメージが湧かないと思いますが、モノに置き換えれば極論それってただの万引きです。

これを読まれている方の大部分は「はあ、意味わからん。タダより高いものなくない? しかもそんな依頼があるのかよ」と思うことでしょう。

しかし、役所発注仕事の中には、どう考えてもこの値段でこの内容以上のことをしないといけないのに、なぜにこんな低予算なんだ…と思う案件もあります。
基礎自治体多い傾向で、中小の建設コンサルタントでよく見るパターン。
参考記事で以下のリンクを貼ります。

「契約外なら責任なし」は本当か、設計ミス巡る判断に疑問も | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)


多くの方がびっくりするかもしれませんが、契約外で擁壁の構造計算がされておらず、しかも設計ミスまでやらかしてしまい、発注者(自治体)は責任を問えないという案件。

自治体よ、金を渋らずに払えや。そうすれば合法的に責任が問えるのに…。

ちなみに、会計検査院の指摘を踏まえ、鉄筋挿入工事を実施し、約4300万円支出したそうです。うむ…、構造計算のお金はおそらく100万円以下のはずだが…(100万は超えるか。けど、10分の以下のはず)


個人的には、実はこの元請企業の意識も変わらないといけないと思っています。
自分たちの価値を低く思っているから、安くやるのが当然と思っているのでしょう。
付加価値が安いことならそんなビジネス持ちません。

特売をやっている日用品や食料品が安くても儲かっている理由を理解していますか?
特売をやっても、採算が取れるラインだけはキープしているんです。スーパーは大量に仕入れることで、仕入れ価格を抑えることができるので、そこで販売価格を抑えることができます。

中小の建設コンサルタントが規模の大きいスーパーと同じ戦略を取ったらアカンのです。
小売業でそこそこ規模の大きいからできる戦略なのであって、地域のコンサルが同じことはできません。

基礎自治体にあるあるパターンは、部署内で決済できる価格で、地元建設コンサルタントに業務委託をするパターン。
役所にいたことがないので、なんでこのパターンが横行しているのか不明ですが、金がないゆえに本当にしないといけない対策・工法検討ができなくなる可能性が高くなります。
コンサルはカネの範囲内の検討しかしません。
それって、本当に私たちのためになるんだろうか、と個人的超疑問案件です。税金使ってこれかよという対策ばかりされてもねえ。

なので、店主の取る作戦は、「本来ならこれくらいお金がかかるんですよ。」といって正規の見積出します。一瞬見せてすぐに引っ込めて、「じゃ、今回はこれで」と颯爽と本物の(安売りに応じちゃった)見積を出すようにします。
官公庁発注であれば、「設計業務等標準積算基準書」と言う本に歩掛が載っていますので、年度の技師単価を掛けて計算してください。
下請さんでも、この本に掲載されている価格の何割でやりますという形で元請企業に提出しましょう。
元請企業の代わりに作業するんですから。それくらいしましょう。


よくある意見で「それを見せて、お客さんから仕事発注されなかったらどうしよう…」という方もいると思います。
そのパターンって、安いから発注しただけが理由で、他にもたくさんの競合がいる場合は発注されなくなります。
しかし、締切きちんと守る、値段の割には品質がいい、後の対応も(本当は嫌だろうが)きちんとやる等あればどうでしょうか?
締切はちょっと違いますが、残り2つが付加価値ですよね。
後の対応も若干語弊ありますが。そこは仕様書とご相談。

なので、本当の仕事量に対してお金を稼ぐことができなかった建設コンサルは下請を平気で叩きます。元請企業に金がないから、利益確保のためには下請け企業にしわが行きます。
それでは、下請け企業が儲からず、最悪下請け企業が潰れます。
一緒に作業する仲間という意識がないのでしょう。最悪社内の人間たちより業務期間中を共にします。元請の事情はわからんにしても。
次の仕事に繋げるためにはお互い気持ちよくやるべきかと。(店主個人の意見)

話がいろいろそれましたね。

②の場合
新規取引企業の様子見で、安くお願いケースもあるようですが、それにしてもまあ酷い。
その方たちの方がよっぽど技術があるケースでそんなことしたら最悪なのですが…。


いずれにしろ、構造計算図面作成をタダでお願いするというのは、そもそも下請法に抵触します。
それに、タダで相手に仕事を頼むこと自体自分たちの価値を自分たちで下げているようなものです。
そんなことしてたら、給料(基本給)は上がらんわ、ボーナス貰えへんわ、給料安すぎて若者の入職者が減るわでいいことないです。
多分、周り回って会社の評判も落とすでしょうね。
人の縁を舐めてはいけません。

正直、投稿者さんには勝手に業界を代表して謝りたいのですが、これは我が建設コンサルタント業界の悪しき風習です。巻き込まれてしまい、申し訳ないです。

個人の力は微々たるものですが、少しずつですが仕事の受注価格の設定をきちんとし、建設コンサルタントのこのビンボー人気質を失くしていきたいと思う店主でございました。
(はあ、建設コンサルタントの会社は運営してないんだが。)


(さて、日本で1番カネのない役所という人種たちをどうすればいいのやら。)


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